くすぐり特化のフルボイス作品
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目次
基本情報
記事概要
サークル「アンダーブルー」が制作したフルボイスサウンドノベル「黒い夜」の紹介です。
公式の紹介ではほとんど触れられていませんが、くすぐり特化の内容と実際の事件を基にした舞台設計が特徴的な作品。
その世界観とプレイ内容ゆえに使い勝手が悪く人を選ぶものの、新たな性癖を開拓し得る可能性を持っています。
ストーリー
舞台は1930年代。
岡山県は津山市、加茂谷というところに集落が存在した。
そこに「水谷家」という豪農の一族がいたが、主人と妻はともに肺病で亡くなり、残された幼い兄妹は主人のいとこ・了司に預けられる。
この了司、大の博打好きだったが二人のために真面目に働き、親代わりとしての務めを立派に果たしていた。
しかしその後、成長した兄・浩一郎が徴兵試験に合格しなかったことを機に「浩一郎は結核らしい」と噂が立つ。
両親も結核らしき病で亡くなっていたことから、了司を含めた水谷家は肺病の血筋「ロウガイスジ」として村八分にされてしまう。
信頼回復の目途が立たないもどかしさから、了司はヤケクソ気味に村はずれの賭場へと足を向ける。
幸運なことに出入りを認められたうえ、賭場での交流もあって村での差別はいくらか軽くなった。
しかし便宜を図ってもらった負い目のある了司は賭場に足しげく通い、博徒たちからカモにされる。
元々の博打好きも災いし、一年も経つと財産は底を尽き、ついに払いきれないほど負けが込んでしまう。
一発逆転の大勝負を挑む了司に提案された担保は、了司の保護下にある兄妹の妹・早百合を賭場で3日間預かるというものであった。
通常なら博徒たちに輪姦されることを指すが、ロウガイスジである水谷家と関係を持てば自身の家系も村八分になってしまう。
つまり『早百合の貞操は守られる』。
この条件を確認した了司は、早百合を連れて勝負に挑むが・・・。
操作方法
基本はマウス操作です。
右クリックでメッセージ消去、ホイールでバックログです。
いわゆるメッセージスキップにあたる機能が無いので、必要な場合はメニューバーで下記のように設定してください。
・自動送り時の待ち時間を「短い」に
・メッセージの表示速度を「ノーウェイト」または「文末まで一気に」に
以上を設定したうえで、Aキーでオートモードにするとメッセージスキップのような挙動が可能です。
システム
全3章に序章と終章が付いた構成。
選択肢無しの一本道ですが、1章を読み終えないと2章が解放されない仕組みとなっています。
また序章は読まずに進められますが、舞台背景はストーリーに関わるので一度は目を通しておきましょう。
エロシーン
1~3章ではヒロイン・水谷早百合の身体を博徒たちが堪能する様子をフルボイスで楽しめます。
プレイ内容は終始「くすぐり」に徹しており、監禁陵辱というシチュエーションながら暴力的なCGはごくわずか。
性的快楽責めも一切ありません。
基本CG50枚、差分が1枚あたり2~4程度用意されているので、全CG数は150前後と豊富。
ただ基本CGごとの変化が小さい場合も多く、実際の枚数はずっと少なく感じるかもしれません。
本作の魅力
くすぐりを専門としたゲームとしては、とりわけ「テキスト」と「ボイス」による表現力の高さが際立っています。
魅力1:くすぐりの魅力満載のテキスト
同人エロゲにおいてもニッチな「くすぐり責め」ですが、それをテキストで丁寧に描いた作品はさらに珍しく、非常に新鮮な気持ちで読めます。
例えばこちらの文章のように、くすぐり行為の与える感覚について事細かにひも解くようなテキスト。
読むほどに「くすぐったい」という感覚への理解が深まるとともに、くすぐり責めへの興味を高められます。
そしてくすぐりへの興味が高まったところで、くすぐりに夢中となる博徒たちの描写が入ります。
まるで自分とリンクしているかのような一体感で、くすぐり行為にのめり込んでいく男たちに一切の違和感を覚えさせません。
丁寧なくすぐり表現に基づいた説得力ある文章と構成の巧みさは、本作ならではの魅力でしょう。
魅力2:くすぐりのフルボイス
くすぐり責めのフルボイスという点も見逃せない魅力。
ボイスのある同人ゲームも増えてきたとはいえ、贅沢な仕様であることに変わりはありません。
くすぐりのような販売数が見込めないジャンルに投資するサークルはさらに希少です。
※ボイスは15秒あたりから。実際にはBGMがあります。
ボイスの内容も良く、「ゲラゲラ」ではなく「コロコロ」とした笑い声は可愛らしさを損なっていません。
それでいてくすぐりを嫌がる感情が込められているので、エロシーンに背徳感が色濃く出ています。
丁寧な心理描写も相まって、陵辱色は他の快楽責め作品にも引けを取らないでしょう。
感想:くすぐりの可能性が詰まった一作
魅力の項で述べたように文章・構成・設定等の完成度が非常に高いです。
ユーモアのあるテキストも織り交ぜられ、くすぐりに興味がなくても読ませるだけの面白さがあります。
ボイスも控えめで可愛らしく、くすぐりに不慣れな人でも嬌声として受け取れるでしょう。
ヒロインに共感して被虐心を得るのは難しいかもしれませんが、加虐心は刺激される可能性十分。
新しい知見を取り入れ性癖を広げる観点から見れば、大変有望な作品と言えます。
体験版でも1章丸々プレイできるので、興味があればぜひ。
実話をモデルとした導入が面白い
くすぐり以外の部分では設定と導入も非常に良かったです。
本作は実際にあった「津山三十三人殺し」をモデルとしており、物語の結末には凶悪な事件が絡むことをプロローグから匂わせてきます。
この導入が非常に良く、結末を見たくないと感じつつも興味を引かれる絶妙なバランス。
実際の事件を参考としているからか、「夜這いの風習が残る村」「結核感染者への差別」などの舞台背景も具体的でリアリティがあり、作品に重みを与えています。
陰鬱とした雰囲気の作品を好む人には特に刺さるでしょう。
このような暗くて陵辱感が強い世界観はくすぐり作品としては珍しく、この作風も特徴と言えます。
欠点:実用性に乏しい
「くすぐり責め」という人を選ぶ内容であることを除いても2つ、実用性に欠ける点があります。
まず最大の山場を迎える3章では途中から物語に転機が生じ、責め方がガラリと変わります。
くすぐりというプレイ自体は変化しないのですが、おそらく多くの初見プレイヤーはその変調ぶりが気になって「お楽しみ」どころではなくなるはず。
つまりクライマックスとなる章で抜きどころを見失う恐れがあります。
次にボイスまわりのシステム。
まずボイスとBGMの音量調整が3段階しかできないのは地味に不便。
またバックグラウンドボイスが未実装なうえボイス自体も短いため、シーンの使い勝手自体が良くありません。
さらに一度読んだボイスを再生する機能がなく、繰り返して聴けないのも痛いポイント。
以上、ストーリー展開とボイス仕様の2点から、仮にくすぐりで抜けるユーザーであっても本作の実用性は低いと考えられます。
3行でまとめ
惹きつけられる文章力・構成・設定
くすぐり特化のフルボイスノベル
実用性は低いが性癖の開拓に役立つ可能性アリ
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